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桜rain.3【Fin】

いま、あなたは、なにしてる?


ここに来れば、あの頃に・・・・


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇






「おつかれさま~」

「おつかれさま。つくし今日帰国するんだっけ」

「うん。すぐ戻ってくるけどね。」

「3年ぶりでしょ?こっち来てから1度も戻ってないって言うのに・・・ゆっくりしてくればいいじゃない!!」

「いーのいーの。両親に会ってくるだけだし。じゃっ、お先~」

「ちょっ、つくしー!もう、気をつけてねーっ!会いたいひとに会ってくるのよーっ!!」

これ以上突っ込まれたくないので、早々に事務所を出ると、それを追うように聞こえた同僚の叫び声。

「会いたいひとなんて・・・・もう、逢えないよ・・・・」

誰に言うでもなく、そう口からこぼれていた。


大学を卒業し、日本で言う法科大学院へ進学。
今は法律事務所で研修の日々。
あの頃を振り返らないよう、ただ前を向いて。

振り返れば…すぐ思い出してしまうから…
あの優しく、心地いい時間と…彼を…



「変わらないなぁ…」

タクシーが都心へ近づくにつれ、久しぶりの日本はあの日とおなじ薄ピンク色が、あちらこちらに広がり始めていた。

「春…だなぁ…」

日本を離れたあの日から、一度も戻らなかった。

戻れなかった…

戻ってきてしまえば、逢いたくなる…
あの、やさしい声と眼差しに甘えてしまうから…

窓から通り過ぎていく景色が、あたしの止まっていた時間を少しずつ動かしていくようで、見えない…見ないようにしていたモノがすぐそばまで近づいているようだった。

「ここでいいのかい?」

「あっ、はい!」

「もう雨降りだしそうだ。こりゃ桜雨だな」

「桜雨…」

運転手さんの言葉を背に、タクシーをおりた。

学生の頃から変わらない風景。
家に帰れば、いつもと変わらない両親と大人びた弟。

けれど、いつのまにか弟に追い抜かされた身長が、過ぎた時間を物語っているようだった。

「姉ちゃん、出かけるの?」

「うん、久しぶりに散歩。いってきます!」

「そっか、あ…」

背中で弟の声がしたけど、玄関のドアで遮られた。

日暮れの雨が、いつもの街を濡らし始めるなか、あたしはあの場所へ。

「満開だぁ…」

雨と桜が舞い落ちるさくら並木。

『桜雨だね』

雨の日一緒に来た時、そう言ってたっけ。

「花沢類…」

日本を離れて、みんなから…花沢類から離れて、振り返らないでまえだけ向いてきた。

いま、確かに手にして掴んだものがある。
けれど…
戸惑ってしまう…

『あ…類さん、日本に帰ってきてるよ!!』

出る間際の弟が叫んだ声は、聞こえてたけど…
聞きたくなかった…

おなじ日本に、花沢類がいる…

桜を濡らしている優しい雨があたしの頬を濡らしていく。

どうかもう少し、降り止まないでいてほしい。
この想いを洗い流せるように…
ふたりの足跡を消せるように…

あたしの頬をつたう涙がかわくまで、このまま降り止まないでほしい…

もう少し、この雨に打たれていれば、この想い消えるかな…


「ま〜きの」


ねぇ桜雨…あたしの願い叶えてくれたの…?





【Fin】










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Author:shalimar
はじめまして(*^^*)shalimar (シャリマー)です。

ド素人の類つく2次ワールド♪
お引っ越しして、2ndのお部屋となります。
創作文はつたない文章でこざいます、妄想パーティーの世界です♪
ひろ~い心でお付き合いくださいませ!

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